御挨拶

第52回人工心臓と補助循環懇話会学術集会

代表世話人
国立循環器病研究センター人工臓器部
西中 知博

この度第52回人工心臓と補助循環懇話会学術集会を2024年4月5日(金)~6日(土)に北海道函館市函館アリーナにおいて開催させていただくことになりました。歴史と伝統のある本学術集会の代表世話人を拝命いたしまして、大変光栄に存じます。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により直接参加が叶わない年がございましたが、今回は本来の対面で議論を行う形式のもとに、人工心臓と補助循環の更なる発展に繋がる学術集会とさせていただけたらと思います。
人工心臓と補助循環懇話会は1971年の第1回開催以来、人工心臓と補助循環に関する研究開発、臨床、患者ケア、機器管理など様々な領域について議論を重ね、それらの発展に多大なる貢献をしてまいりました。近年人工心臓の領域においては植込型連続式補助人工心臓が普及し、Bridge to transplantationに加えてDestination therapyとしての保険償還下の使用が行われるなどますます発展が期待されております。また、体外設置型補助人工心臓に関しては拍動流式補助人工心臓に加え連続式補助人工心臓が開発され保険償還下の使用が行われています。補助循環の領域においては大動脈内バルーンパンピング(Intra-aortic balloon pumping, IABP)、ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation)は広く普及し、また、循環補助用心内留置型ポンプカテーテルの普及も進んでいます。機器開発並びに臨床医療の発展は、研究開発者、企業、臨床医療現場の医療スタッフの方々が共に病と闘うべく歩んできた結果であり、臨床医療現場においては、医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士をはじめとした医療スタッフの皆様が連携して、患者さんと共に病と闘ってきた結果であります。一方で、研究開発、臨床、患者ケア、機器管理など様々な領域において、人工心臓と補助循環によって患者さんの救命と社会復帰を目指す上で未だ多くの課題があります。人工心臓と補助循環は患者さんと我々が共に病と闘うための手段であるという原点からその創造と実践のためには、研究開発は何をしていかなければならないのか、研究開発者、企業、医療スタッフの連携はどのようにあるべきか、医療スタッフの使命とチームワークはどのようにあるべきか、そういった点を改めて総括し、将来への発展へとつながる学術集会にできたらと考えております。以上から第52回人工心臓と補助循環懇話会学術集会のテーマは“共に病と闘うー創造と実践”とさせていただきました。
人工心臓と補助循環を必要とする患者さんと共に病と闘うべく、人工心臓と補助循環の新たな道を創造し実践していくことを目指して議論を行うことによって、希望に満ちた未来につながる有意義な学術集会となりますよう皆様のご参加とご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。